空論の法則

電荷間に作用する言葉の相互作用

壁を超えた先の景色 『ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』

新年明けましておめでとうございます。本年も空論の法則をよろしくお願いいたします。

 新年ということで皆さん初詣に行かれたと思いますが、私も行って参りました。地元の小さな神社へ。

 

私の場合、初詣のタイミングに限って、なぜかいつも財布に五円玉がないので「今回は御縁がなかったということで。今後のご活躍をお祈りいたします」と神からも見放された気分になります。頼むから境内に五円玉の両替機を。

 

さて、初詣以外にも新年様々なことに挑戦していると思います。お節料理を食べたり、凧揚げを楽しんだり、格付けチェックでGackt様の個人連勝記録更新を目の当たりにしたりと。シャトー・オ・ブリオン間違えるなら帰った方がいいと断言したのにはシビれた。

 

もしくは、今年の目標を決めた方も多いと思います。決めたはいいけれど、達成はどうにも難しそうだ。越えられない壁がある。今年の目標に限らず日常のちょっとしたことから、会社などの大きなプロジェクトを動かしている時まで、こういった壁に直面することはよくあります。そんな時に役立つ思考法の一つが今回紹介する書籍の主題であるブレイクスルー思考です。

 

 

ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』では通常のブレイクスルーが起こる時のプロセスや、起こすための方法について、失敗例も含めて具体的に解説しています。この本にはとても大切なことが書いてあったように思えるし、私自身にはとても役に立ちそうだと感じました。ただ単に問題点を裏返しただけだったり、誰かがやっていることをそのまま適用しただったりしかできず、真の解決に結びつけられないという、私と同じ課題を抱えている誰かに少しでも伝わることを願って簡単にまとめてみましょう。

 

その前にまず、ブレイクスルー思考をご存知でしょうか?

言葉としては馴染みがなくても、きっと様々な場面で目にしているであろう思考法です。

解決されるまでは困難な課題にみえるが、ひとたび解決されてしまうと、なあんだ、ととても単純なことのように思える、発想が必要な思考法のことです。

 その一例として、コロンブスの卵などがあげられます。

 

私の場合はミステリが好きなので、ミステリに目を向けると、(新)本格ミステリでブレイクスルー思考はよく使われます。警察が丹念に殺人現場を精査し、痕跡を探し、人間関係やアリバイを調べて必死に事件を解明しますが、犯人がわからなかったり、間違った人物を犯人だと決めつけます。しかし、クライマックスで探偵役の人が「思考のジャンプ」を行い、隠されていたトリックを鮮やかに暴きだす。この時の「思考のジャンプ」がブレイクスルー思考にあたります。

 

まず、著者はフレームワークを使って問題に対処することが難しくなってきたことを指摘します。

 

ミステリでもJ.D.カー『三つの棺』でギデオン・フェル博士が「密室講義」を行い、密室トリックを分類するが、この分類にあたるものがフレームワークというものになります。ある課題に直面した時に、今まではただ単にフレームワークを適用していくだけで解決できました。しかし、時代の変化などで既存フレームワークを使っていては思いつかないような例外的な発想が生まれてきます。この例に対しては京極夏彦の『姑獲鳥の夏 』を挙げることができます。フレイムワークという必勝パターンでは解決できない課題にぶつかってしまうのです。

 

そこで、パターン化しない柔軟な思考、ブレークスルー思考が登場します。

ブレイクスルー思考では課題に対して「→未来図→突破口→具体案→」の3つのステップを検証・発見・具体化を経てサイクルを回して行われます。未来図は「こうなったらいいな」という未来を大まかに描いたデッサン、突破口はそれを実現するための方針、具体案は突破口をより具体化した実行する中身にあたるものです。

 

各ステップにおいて、論理的な「町の思考」と直観的な「森の思考」の両方を駆使してブレイクスルーを生み出します。ここで、決して論理的な思考を著者は軽視していない点は見逃してはなりません。思考のジャンプが起こるとはいえ、具体的な案に落とし込まなければならない以上、直観的な思考だけでは課題の解決には至らないのです。

 

では「町の思考」「森の思考」とは具体的にどのような考え方なのか。詳細や具体例は本書を読んで確認していただきたいが、名前だけ列挙すると、

【街の思考】

・三段論法

・つみあげ

 【森の思考】

・連想

・組み合わせ

・類比(アナロジー)

・仮説法(アブダクション)

・仮想

・逆転

 

名前を見ただけで中身も大体想像がつくと思います。「こんなこと知っているよ」とおっしゃるかと思いますが、こういった各思考法を意識的に行うことで、発想する時の「産みの苦しみ」を少しでも和らげることができるのです。

 

こうした方法を駆使して、ただ考えるだけでなく、実際に手を動かして検証を行い、また思考に戻るという試行錯誤をしてPDCAサイクルを回すということが重要になってきます。

 

また、アイディアの失敗例として、「あわよくばプランニング」や「高学歴プランニング」、「ハコモノ具体案」など私もよくやってしまうアイディアの立て方が紹介されています。反省するとともに、タームとしても使いやすいので「それはあわよくばプランニングだね」みたいに友達とアイディア発想する時には積極的に使っていきたいです。

 

この他に一人だけではなく、複数人の集団でアイディアを出すケースに関しても簡単にですが触れられております。同じテーブルを囲って、アイディアを重ねるスタイルがブレイクスルーを生み出しやすいと述べられていてとても共感を覚えました。

 

簡単にですが、私が要点だと感じた部分をまとめてみました。具体例が豊富でかつ説得力がある本なので、時間に余裕のある方はぜひ本書を手に取って読んでいただきたい。特に男性がどうしたら育児に興味を持つかを多角的に考える部分が面白いので是非。

 

新年だというのに破壊とか物騒な話から初めてしまった。全部NHKを襲ったゴジラのせい。