空論の法則

電荷間に作用する言葉の相互作用

求婚×君の名は×カードマジック

※この記事には映画『君の名は』のネタバレが含まれております

※この記事にはカードマジックの基礎知識が多少必要となります

※この記事には鷹揚さとゆとりある心が必要となります

※この記事には年始の挨拶が含まれております。

 

 

以上をお許しいただける方だけ、この先へどうぞ。

 

 

誰もいなくなったところで、改めまして、新年あけましておめでとうございます。

本年も空論の法則をよろしくお願いいたします。

 

テレビ初放送の『君の名は』を見ていて思いついたカードマジック(の演出方法)です。実戦を耐え抜けるかというとちょっと難しいんじゃないかと思われますが、とりあえず、SF小説だと思って先ほどの注意書きの条件を見事満たした空集合の皆様は読んでみてください。

 

カードマジック『君の名はプレディクション』

 

 

<用意するもの>

・プレイイングカード

・サインペン

・リングケース、これは手頃なサイズを用意する。例えば……そう、レモン大

・ブランクフェイスの表にリングやリングケースなどが描かれたもの

・透明なコップ

・観客としてそろそろ結婚したいと内心思ってて、プロポーズをじりじりと待っている恋人(一人が無難)

・勇気もしくは無謀

 

<手順>

「よういするもの」を読んで、ご存知の方はなんとなく察せたかもしれませんが、ドクター沢さんのレモン・トリックが下地になっております。そのため、このマジックを始める状況はレモン・トリックと同様であります。異なる点は膝に置いてあるものがレモンの代わりにリングケースであり、ポケットにサインペンが忍ばせてあるという点です。

 

※ご存知ない方はお手数ですが『澤浩の奇術』を御一読ください

 

まず、カードを指さしながら「これから、選んでいただいたトランプを当てるマジックをします」といい、これがカード当てのマジックであると相手に誤解させます。

 

「実はこれからあなたが引くカードは3年前から夢に見ていてあらかじめ知っていました。その証拠としてカードを選んでいただく前に"予言"として書いておきます」と言いながらポケットからサインペンを取りだします。

 

「でも、予言を普通に紙に書いたら後ですり替えたんじゃないかと思いますよね。だからこの予言は絶対に書き換えやすり替えができないところに書きます」と言い、利き手とは反対の手を出してもらいます。恋人の利き手くらいは当然把握しておいてください。

 

手のひらに予言の言葉を書きこんだらまだ見ないように手はグーの形にしてもらいます。ここまでいったら、レモン・トリックの第一のレモン出現までを演じます。すると、選ばれたカードはリングケースが描かれており、コップの上にもリングケースがおいてある状況になります。

 

手を開いてもらうと、手のひらにはプロポーズの言葉が書かれています。

 

<アフターソート>

・手のひらに書く言葉については原作に忠実に「すきだ」にするとモチーフがわかりやすいです。とはいえ別に「ばか、あほ、……好き」でもなんでも構いませんので自由に工夫を凝らしてください

・沢浩さんのリスペクトっぽくマジックを始める際に「四谷怪談をモチーフにしたマジックをやります」と前置きするのも一つの手です。あとで「なんで四谷怪談なの?」と聞かれたら「『君の名は』の最後に瀧と三葉がすれ違ったのは階段、実は四谷に実在するのさー」

・マジックそのものの成功とプロポーズの成功はまた別次元の話です。実践される場合は自己責任でお願いいたします。万が一ビンタされても高確率で利き手でされるため、あなたのほっぺたに予言が移って恥ずかしさが倍増しない程度の気遣いはいたしました。また、成功の可否に関わらず成果報告していただけるとありがたいです。笑って差し上げます

・この企みに使える類似の方法としてはこざわまさゆき氏の『Ten little tricks』に記載されているThe Gift of the Magicianがあります。実績もあるためこちらの方がはるかに有用であるといえます。電子書籍版もあるようです

 

君の名はの手のひらのシーンはとても印象的で、なにか予言のマジックにつかえないかなと思って考えていました。原作に忠実にするために予言を確認してもらう前に一度、転倒させたくて武術関連を少し漁りましたがどうしても難しかったです。

 

今回は直接的なアプローチをしてみましたが、プロポーズに使うのはキメすぎかと思います。もちろん、言葉と出現させるものをアレンジすればちょっとしたプレゼントにも使えます。ただしイケメンにry

 

プロポーズマジックだけをあつめた奇書、発売されないだろうか……ま、松田道弘のプロポーズマジックみたいな……。

 

<参考文献>