空論の法則

電荷間に作用する言葉の相互作用

カーディストリー:コンボの本質情報

こんにちは! シビルカットです。

 

まずはじめに、この記事はすでにカーディストリーをある程度やっている中級者を対象に書いている。具体的にはネット上等で解説されている技をいくつかは軽くこなすことができるという段階の方だ。まだこの段階に達してなく、これからカーディストリーをはじめたいよ、という方は、以下の記事なんかを参照して欲しい。

 

 

sybilcut.hatenablog.com

 

逆に、コンボ動画や自分のオリジナル技をばしばし発表している上級者にとっては、至極当たり前な内容かもしれない。そのレベルの方は対象外ということでご容赦いただきたい。

 

さて、コンボについてである。

まずは一つ、コンボを行ってみたのでご覧ください。

 

youtu.be

 

KaedeとAtriumとFlip phoneをつないだものである。全て解説されているいわゆる"既存"だ(Flip phoneはdealers gripでの解説は現在はなくなっている)。これらの技は特にコンボがしやすいということもなく、自分ができる既存技を適当に選び、つないだだけである。これは、先に書いた中級者であれば、誰にでも簡単に行えるようになると私は信じている。

 

巷でカーディストリーのコンボと呼ばれるものについてはいくぶん幅がある。

 

1.ワンハンドの技を両手で同時に行う

2.両手の技を連続して行い、一連の手順とする

3.1度もフルデックの状態に戻らず、2つ以上の技を連続して行う

4.2つ以上の技を組み合わせるが、微妙にオリジナル要素を付けたし、一つの作品とする

5.これらの組み合わせや、その他

 

今回コンボと呼んで解説するものは3にあたる。すなわち、ツーハンドカットをフルデックに戻さず、いかにシームレスにつなぐか、である。先ほどの動画でも一度もフルデック状態には戻っていない。

 

実はコンボはオリジナルのカーディストリーを作るよりもはるかに簡単だ。

もちろん、どの技とどの技をつなげば、自分の理想とする表現したい作品になるか、

どういうリズムで行うか、などデザインのことまで考えると難しいが、

ここでは、単に技と技をつなぐだけなら、くらいの意味に捉えて欲しい。

 

簡単にできるのにも関わらず、多くの人が技単体のみの動画をアップロードしているか、もしくは有名なカーディストがコンボした技を目コピしてなぞっているだけなのが実態である。これは非常にもったいない。

 

既にinstagramyoutubeで多くのカーディストリーの解説がなされている現在、

オリジナル作品が作れなくてもコンボを考えるだけでも組み合わせは無数に存在し、無限に楽しめるようになる。これを習得しない手はないだろう。

 

あなたは自分で技も作れない癖に「この技は前半は好きだけど、最後の〆の部分が好みじゃない」とか「見せ場はいいけど、それ以外が微妙」とか偉そうに思ったことはないだろうか? 私はある(えっへん)。コンボはある程度、そのいささか身勝手な願いをかなえてくれる。

 

また、「技単体を覚えるのは慣れたから、もう少し発展した何かがしたい。でもオリジナルの作り方はようわからん」とオリジナルが作れなくて停滞している方も、コンボを試してみて欲しい。後述するように創作要素もあるので長く楽しめるはずだ。

 

大丈夫、別にできない技があっても問題ない。自分の得意な技でつなげばよいのだ。気楽にできる。

 

 

さて、前置きはこれくらいにして、具体的にどのようにコンボを行うかを書こう。

一言で言うと、コンボとは原則「簡単なグリップになったタイミングで、別の簡単なグリップに切り替える」ことである。

 

簡単なグリップとは何だろうか? 代表的な簡単なグリップは以下の通りである。

 

2分割(これらは通常グリップとは呼ばないが説明の都合上そう呼ぶ)

・スイベルカット

・スイングカット

 

3分割

・Zグリップ

・Eグリップ

・逆Zグリップ(裏Zグリップ、対偶Zグリップも誰か考えてください!)

 

4分割

・シビルカットのグリップ(Zグリップからトップのパケットを分けたグリップ、名称不明。大喜利したい。以下、説明のため便宜上Sグリップとする)

 

もちろん、他にも無数にあるが代表的なものを挙げた。

さて、ではここで皆さんにやっていただきたいことがある(当然デックは手に持ってるよね?)。

EグリップからZグリップに持ち替えることはできるだろうか?

(なお、大丈夫だと思うが、EグリップやZグリップがわからない中級者がいれば後で写真を追加するのでコメントしてください)

 

どうだろう。簡単にできたのではないだろうか?

やり方は色々あるが、私の場合、

1.一番下のパケットを右親指から左親指に切り替える

2.上の2パケットを前傾させつつ真ん中のパケットを右中指から左人差し指に切り替える

この2手で済んだ。

 

さあ、ここで、みなさんに一つ朗報だ。

今あなたは

 

途中にEグリップのポジションになる技からZグリップになる技へのコンボを全て習得した

(実際はそこまで甘くないですが。後述します)

 

なぜならば、ある技の途中でEグリップになった時に前述の切り替えを行えば、別のZグリップになる技につなげられるからである。これは自明であろう。

 

さあ、ではEグリップからSグリップはどうだろうか? EグリップからZグリップの切り替えができるのだから、SグリップはZグリップから上のパケットをそっと開くだけでよい。さあ、これで、EグリップからSグリップ、ZグリップからSグリップの技も全てコンボできるようになった。

 

なぜ、コンボの方が簡単かというと理由はここにある。2~3分割などの分割数が少ない状態は8分割などで別の8分割に移行するよりも指を動かすのに制約が少ないからだ(私は勝手に自由度が高い、と呼んでいる)。

 

また、カーディストリーもいきなりフルデックから13分割とかにはなかなかできず、ほぼ必ず分割数の少ない状態を挟むことになるからだ。そこを狙ってコンボに持ち込めばよい。

 

 昔はだいたい先ほど挙げたグリップで始まる技が多かったが、現在ではカーディストリーも多様化しており、必ずしも先ほど挙げたグリップを途中に挟まないことが多い。それでも、原則は同じである。「少ない分割数の時にグリップを切り替えろ」だ。最初に見ていただいた動画を事例に、具体的に見てみよう。

 

なお、ここからは(コンボ前の技)→ (コンボ先の技)という表記でコンボを表現するものとする。

 

事例

Kaede → Atrium → Flip phone

 

まずはKaede →Atrium を見てみよう

 

Kaedeは中央のパケットの左隅と右隅を左親指と右小指でグリップしている。

一方Atriumはスタートの段階で トップのパケットの左隅と右隅を同じ指でグリップしている。さあ、「少ない分割数の時にグリップを切り替えろ」だ。この2つのグリップを切り替える方法は誰でも思いつくだろう。

 

ただ、ここで、創作要素が発生する。Kaedeの場合、中央のパケットを対角で押さえているので、トップに別のパケットを持っている。ここをいったん下のパケットと合せて、上記の切り替えを行っても良いが、Atriumではどうせすぐに3分割することになるので野暮ったいと私は感じた。そこでショートカットして、パケットを持った状態で指を切り替えて、Atriumのメインのインターロックのディスプレイにすぐに移行できるように工夫した。

最終的なグリップの切り替え方法を動画にしてみた。

 

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文章だとカーディストリーの技を伝えるのに限度があるが、動画であれば伝わったかなと思う。

 

一旦、左人差し指と右親指で保持してから対角への移行を行っている。

ここの手数をいくつ減らせるかや、美しく見える(もしくは自分の表現したい)移行方法はどうか、などを考えることが創作要素だ。創作要素と言いつつも元の技のスタートと、つなぎたい先の技のゴールがあらかじめ決まっている分、当然、オリジナルの技を新たに開発するよりも目標が明らかで簡単である。

 

続いて、Atrium → Flip phoneも見てみよう。

私はAtriumに関してはディスプレイ部分は非常に好きなのだが、終盤の閉じる部分はあまりディスプレイ部分とマッチしていないのではないかと思っていた。なので、終盤の閉じる部分はごっそり削り、Flip phoneに切り替えてみた(なお、Flip phoneが最適だとも考えておらず、コンボの説明上つないだだけと強調しておく)。

 

実際の切り替え方をまず動画でお見せしよう。インターロック状態のディスプレイを引いたところからスタートする。

 

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ディスプレイをした段階で、4分割されているので、まずは3分割の状態にする(「少ない分割数の時にグリップを切り替えろ」に持ち込める)

 

2つのパケットを合わせて3分割にすると、中央のパケットは外側を左人差し指、内側を右人差し指で保持している状態になる。先のリストには出てこなかったグリップだ。私の場合ここからFlip phoneに移行するには、トップパケットの外側を左小指(手が小さいため通常は薬指で保持するがそれができないので、小指にしている。こういう手が小さくても技ができるノウハウも持っているのでそのうち記事にしたい)。内隅を左親指にすればよい。これも誰でも思いつくことができるだろう。

 

以上のようにして、KaedeとAtriumとFlip phoneのコンボを行った。

たぶん、このコンボの移行方法はもっと手数の少ないやり方ができると思うので、これらの技ができる方は考えてみて欲しい。

 

ここで、「シビルカット氏は実はこれら技のコンボしかできないのではないか?」という声もあろう。私としては非常に不本意ではあるが、そう思われるのも仕方ないと思う。また、先ほど「実際はそう甘くない」と書いたように、コンボを行う際に注意点があるので、別の事例をお見せしてこの疑念を払拭しつつ、注意点を説明しよう。

 

注意点は以下の2つだ。

1.パケットの枚数配分

2.保持の指の配置

 

ペガチャンネルのカーディストリー講座でARSさんも言っているが、既に習得している技であれば、やりやすいパケットの枚数配分や、スムーズに開きやすい指の配置などが自分なりにあるはずだ。コンボを構成する際には、そのままではうまくいかないことも多く、慣れた枚数や配置をいったん崩して、再習得する必要がでてくる。この辺りを具体的に見ていこう。

 

・パケットの枚数配分

 

 事例

 Madonnda3 → Tsubaki

 

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未習得の方はMadonna3に関してはトリロジーを、Tsubakiに関してはUnnaturalsを参照して欲しい(なんとなく、これはそのうちカーディストリー講座に出てきそうな気もするが)。

 

Madonna3でシビルカットに似たディスプレイをした後はSグリップになる。Tsubakiは最初がSグリップだ。つまり、グリップの切り替えを行わずに自然とコンボに持ち込める。余裕。しかし、実際にやってみると上手くいかない人が多いのではないか。Sグリップの段階で上から2番目のパケットの枚数が多すぎて、Tsubakiの最初の対角回転がやりにくいのだ。

 

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Madonna3の最初

 

よって、これを避けるために、写真のようにMadonna3のスタートのZグリップに開くところで、真ん中のパケットの枚数を少なめにしておく。これは、私が単体でMadonna3をやる枚数配分とは異なっている。もちろんやりやすさには個人差があるので、普段通りでも行けるという方もいらっしゃるだろう。この通りにしろというのではなく、自分に最適化した枚数配分を見つけて欲しいということである。

 

・保持の指の配置

 

続いては保持の指の配置である。別の事例で説明する。

 

事例

The werm → Pandora

 

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また、私の場合で恐縮だが、私の場合、The wermはトップパケットは右親指と人差し指をほぼ中央に置いている。一方で、Pandoraを行う時はやや右寄りにしている。

 

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The wermのスタート

 

そこで、Pandoraに合わせて、The wermのスタートポジションを右寄りにしてあげた。

また、パケットの枚数も重要である。先ほどは少なくしたが、今度は多くするパターンだ。Pandoraのスタート時点で、上下のデックがほぼ均等に分けられている必要がある。そこで、The wermのスタート時に上から2番目のパケットが約半分になるように調整する。

 なお、余談だが、通常パンドラは開始時に一枚を右人差し指でスライドさせる必要があるが、The wermでピボットしているカードがあるため、コンボの場合はこの操作が不要である。この動きが個人的になかなか楽しい。もちろん好みはあろうが……。

 また、The wermのディスプレイを閉じるために、一旦、右のパケットが前方に出ることになるが、こうならずにスムーズにPandoraに移行できた方が良い気がする。もし、両方できる方はぜひ考えてみて欲しい。

 

このように、枚数や指の配置に制約が出来てしまう。今回は2つのコンボで説明したが、これが4連、5連となると前のポジションや枚数が、コンボ先と矛盾してしまい、うまいことつながらないということが起きるはずだ。このあたりの解消もまた創作要素である。

 

以上みてきたように、コンボはその本質がグリップの移行であるように、同様のグリップが出てきた方がつなぎやすい。Dealers grip時代のTobiasの技は本人がだいたい全てコンボに用いているが、それはSグリップがいたるところに出てくるようにデザインされていたからではないだろうか。また、例えば、Noelの技はコンボに組み込みにくいと言われているが、特殊なグリップが多いからではないかと考えることができる。

 

また、コンボには〆の部分にしか向かないムーブもある。

例えばGenesis。前半にSグリップがあるので、コンボ先としてはやりやすいが、

ラストの右手中指薬指で挟んで回転させるところまで行くと、非常につなぎにくい。Jackson5はD & Dが考案した目玉技をつないだ、いわば集大成のコンボのような技だが、そのラストにGenesisが来ていたのはそういう意味だったのではないか。

 

そして、もう1点。当然だが、この考え方だとアイコニックムーブは繋げない。

例えば、Friffleはスタートがファローなので、コンボ先としては使えないし、終了時がやはり直角に嚙み合わさった状態なのでカット系とは繋げない。ファン系も同様である。この辺をコンボ要因として組み込む手立てはあるだろうか? これも考えてみて欲しい。

 

最後に演習問題。

〇自分の得意なツーハンドカットを2つコンボでつないでみよう。3つではどうか。

 

今回の記事を適切に読めていれば、簡単にコンボにすることができるはずだ。

コンボの能力が上達すれば、最終的には作品集を全てコンボにしたりもできるようになりそうだ。

 

コンボについての説明は以上である。あとは、みなさんでめいめい好きな技を組み合わせて遊んでみて欲しい。なお、良いコンボとはなにか、というとまた別の話になってくるので注意が必要だ。

 

もし、よかったら、コメント欄にあなたが実際に行ったコンボの動画を貼り付けてみて欲しい。みなさんの挑戦のご報告をお待ちしております。

 

 

 

もう一年遊べるドン!

 

 

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<参考>

楽曲利用規約 - ファルコム音楽フリー宣言 | Falcom

みさわみき(@fortune_misawa)さん、ご教示ありがとうございます。