空論の法則

電荷間に作用する言葉の相互作用

「どうだった?」の話

この質問はなかなかの曲者である。

 

質問がぼんやりとしている上に、答え方が無数に存在する。

とても広い射程の質問で、手軽にできるので、質問者の人柄を出さずにおける。

逆に、答えが無数に存在するということは答えの内容に回答者の実力がでやすいということだ。なんてやーな質問なんだ。

 

それになんだか、立場が同じくらいか、上からの感じも少しある。マジックレクチャーの後、質問タイムになった時にゲストに「今回のレクチャーで話してみていかがでしたか?」なんて聞く人はいない。あるとしたら、アフタートークの裏話の時くらいだろう。

 

だから、私はこの質問はとても苦手だった。質問の範囲を明確にして、なにについての質問か具体的にして欲しいと何度思ったことか。「どうだった……とは?」と聞き返したくなるが、手慣れている人なら「質問に質問で返すな」と追い打ちをかけてくることだろう。聞きたいことがあるならはっきり聞いて欲しいものよ。

 

ただ、経験的に答え方のコツ、みたいなものはあるように思う。そして、それは割とTPOによる。

 

質問された場面が、仕事であったならーーー、これは割と求められている答えは明白に思う。事実、について答えればよい。例えば、展示会の参加を上司に報告した際に「どうだった?」と聞かれたら、展示会の参加者はどの程度で、どういう業種が参加してて、どのブースを回って、どんな展示があったかを伝えればよい。前段の展示会自体の情報についてはググればわかるじゃんと思うかもしれないが、上司はそんなに暇じゃないので添えた方が親切だ。これを気持ち、で答えようとするとアホ扱いされる。キャンギャルが可愛かったですとか、会場が暑かったとか、ノベルティーが多すぎたとか、なにしに行ったんキミ? となる。

 

これが手品を見せられた後だったら、どうだろう。4枚のエースの内、スペードだけ別に分けて、それ以外のAを一枚ずつ手の中に持つけど見えなくなって、見えなくなったままスペードの方へ移動しました! なんて、述べた際には、気味悪がられてしまうだろう。なので、ここは、気持ち、で答えた方が良いように思われる。「見えなくなったはずなのに移動して不思議だった」「すごすぎて言葉を失った」「トランプってステルス機能ついてたんですね」などだ。ただ、この辺は答えがなくて、マニア同士の見せ合いだったら、「〇〇が似たようなことをしていたが、××の部分で新しい」と答えた方がよかったり、アドバイスを答えた方が良い場合も考えられる。や~、でもそういうことを聞きたかったわけじゃ無いんだよなぁ、という雰囲気になる場合もあって、この辺がセンスが問われるゆえんかなとは思う。ただ、まあ、気持ちを答えておけば大きくは外さないようにも思う。

 

そういえば、以前、マヤ歴が終わる際に地球が滅ぶという話で盛り上がってた時に、とある方が「そっちはどう、滅んでる?」と聞いていた人がいた。これはもちろん事実でも気持ちでもなく、単に笑ってあげればよいだろう。

 

とまあ、なんとなく定石のようなものは掴みつつあるけれど、まだわからない部分もあって、なかなか難しいね。